サービスが増えるほど、顧客が見えなくなる。
分断されたデータをつなぐための再設計
同じお客様なのに、サービスが変わると「別人」になってしまう。
複数の比較サイトを展開する中で、それぞれの仕組みは独立して進化していきました。
その結果、顧客情報はサービスごとに分断され、本来活かせるはずのデータが十分に活用できない状態になっていました。
こうした状況を見直すため、ウェブクルー様では顧客情報を横断的に捉えるための基盤整備に取り組みました。

株式会社ウェブクルー 取締役 増田 幸太郎 様
株式会社ウェブクルーについて
生活者のライフイベントを支援する比較サービスを中心に、保険、通信、引越し、中古車、住宅関連など、多様な分野でサービスを展開する生活者密着型のEマーケットプレイス企業。1999年の創業以来、生命保険の一括資料請求サービスをはじめとする比較サイトを多数立ち上げ、事業領域を拡大。
同社の収益は、「見込み客紹介手数料」「サービス販売手数料」「物品販売」の三つを柱としており、いずれもウェブサイトおよび顧客データの活用に大きく依存している。そのため、ウェブサイトを支えるシステムや顧客データベースは、同社にとって事業そのものを支える基幹的な役割を担っている。
なぜデータベース統合が不可欠だったのか
今回の取り組みの出発点となった背景について教えてください。
当社では、当時すでに20数個の比較サイトを運営していました。
それぞれのサービスは独立して成長してきた経緯があり、システムやデータベースも個別に構築されていたため、サービスを横断して顧客情報を把握することができない状態になっていました。
同じお客様であっても、サービスが変わると別の情報として扱われてしまい、過去の利用履歴や興味関心を活かした提案ができない状況が生まれていました。サービス数が増えるにつれて、この問題は次第に大きくなっていきました。
本来であれば、あるサービスを利用されたお客様に対して、関連する別のサービスをご提案できるはずですが、データが分断されているため、それができない。
その結果、本来得られていたはずの収益機会を取りこぼしている可能性があるという認識が強くなっていきました。
内部で検討を進める中で見えてきたのは、この状態が続けば、年間で億単位の機会損失が発生している可能性があるという現実でした。
この段階で、私たちははっきりと認識しました。
データベース統合は単なるITの問題ではなく、事業の成長そのものに直結する経営課題であるということです。
20数個のサービスを持つ当社にとって、顧客を「サービス単位」ではなく、「一人の顧客」として捉えることができるかどうか。
それが、今後の事業の成長を左右する重要な分岐点になると考えていました。
システム開発会社を比較する際に重視した要件
システム開発会社を選定するにあたり、どのような点を重視されたのでしょうか。
システム開発会社を選定するにあたり、私たちは単に技術力だけではなく、当社の事業規模と将来像を理解した上で提案できるかどうかを重視しました。当社は当時すでに20数個の比較サイトを運営しており、それぞれのサービスが独立して成長してきた結果、システム構成も複雑になっていました。そのため、単一のシステムを作り直すという発想ではなく、複数のサービスを横断して活用できる基盤をどのように構築するかという視点が不可欠でした。
今回の取り組みは、単なるシステム刷新ではなく、今後さらにサービスが増えていくことを前提とした長期的な基盤づくりであると考えていました。したがって、目先の機能だけを実現するのではなく、将来の拡張を前提とした設計ができるかどうかという点は、非常に重要な判断基準でした。
また、20数個のサービスを抱える環境においては、すべてを一度に統合するのではなく、段階的に整備を進めていく現実的な進め方が提示できるかどうかも重視していました。
さらに、単一の解決策を提示するのではなく、複数の選択肢を提示し、それぞれのメリットやデメリットを丁寧に説明してもらえることも重要でした。私たちは、最終的な判断を自分たち自身で行いたいと考えていました。
そのためには、比較可能な複数の案が提示され、それぞれの方向性について納得して検討できる環境が必要でした。
単に「作れるかどうか」ではなく、将来の事業展開を見据えた基盤を一緒に考えられる存在であるかどうか。
それが、パートナーを比較する際に最も重視したポイントでした。
最終的にオーシャンを選定した理由
数ある候補の中から、最終的にオーシャンを選定された理由を教えてください。
複数のシステム開発会社やITパートナーを比較検討する中で、私たちは「20数個のサービスを横断する基盤をどのように構築していくか」という点を最も重視していました。単一のシステムを作るという話ではなく、将来にわたってサービスが増えていくことを前提とした基盤づくりであるため、その全体像をどこまで理解して提案できるかが重要でした。
その点において、オーシャンの提案は非常に印象的でした。一つの方向性だけを示すのではなく、複数の選択肢を提示し、それぞれの進め方について丁寧に説明してくれました。例えば、どの範囲までを統合対象とするのか、どの段階でどの機能を整備するのかといった点についても、段階的に進めていく現実的なシナリオを示してくれました。
20数個のサービスを一度に整理することの難しさを前提に、現実的に進められる方法を提案してくれたことは、非常に大きな安心材料になりました。また、提案の過程において感じたのは、単にシステムを構築するという視点ではなく、当社の事業がどのように成長していくのかという点を理解しようとしている姿勢でした。私たちの話をよく聞き、その背景や考え方を踏まえた上で提案を組み立ててくれたことが、他社との大きな違いだったと感じています。
最終的には、「この会社であれば、長期的なパートナーとして一緒に取り組んでいける」という確信を持てたことが、オーシャンを選定した最大の理由でした。
「クライアントパートナー」という考え方の重要性
今回の取り組みを通じて、どのような関係性の重要性を感じられましたか。
今回の取り組みを通じて強く感じたのは、単なる開発を担う立場ではなく、クライアントパートナーとして関わってもらうことの重要性でした。従来のシステム開発では、要件をまとめて開発を担う企業に渡し、それを形にしてもらうという関係が中心でした。
しかし今回の取り組みは、20数個のサービスにまたがるデータをどのように整理し、どのような形で統合していくのかという、非常に大きなテーマでした。そのため、単に仕様を受け取って開発するという関係ではなく、事業の背景や方向性を共有しながら、一緒に考えていく関係が不可欠でした。
実際の打ち合わせの中でも、単に指示を出すというよりは、「この場合はどう考えるべきか」「将来的にはどのような影響があるか」といった点について、議論を重ねながら進めていく場面が多くありました。その中で、オーシャンは常に当社の立場に立って考え、時には課題を整理し、時には別の視点を提示してくれました。
単に作業を受ける側ではなく、事業の一部として関わってくれているという感覚が次第に強くなっていきました。こうした関係性があったからこそ、20数個のサービスを横断するという大きなテーマにも、安心して取り組むことができたと感じています。今回のプロジェクトは、単なるシステム開発ではなく、パートナーと共に事業基盤を作っていく取り組みだったという印象が強く残っています。
アフターファイブの社内勉強会も開催
プロジェクトの進行にあわせて、社内での取り組みも行われたと伺っています。
今回の取り組みでは、プロジェクトを進める中で、社内メンバーへの理解を深めることも重要なテーマでした。データベース統合は、一部の担当者だけが理解していればよいものではなく、事業全体に関わる取り組みであったため、社内全体で目的や考え方を共有していく必要があると感じていました。その一環として、業務終了後のアフターファイブの時間を使い、社内向けの勉強会を開催しました。
この勉強会では、単にシステムの機能を説明するのではなく、「なぜデータベース統合が必要なのか」「どのような考え方で設計が進められているのか」といった背景についても、丁寧に説明を受ける機会を設けました。こうした取り組みによって、プロジェクトの意図や方向性を、担当者だけでなく組織全体で共有できるようになっていきました。
また、勉強会を通じて、システムは単なるIT部門のものではなく、事業全体を支える基盤であるという認識が、社内に広がっていったように感じています。その結果、プロジェクトに対する関わり方にも変化が生まれました。
従来は一部の担当者に任せる形になりがちだった取り組みが、組織全体で理解しながら進めていくものへと変わっていったことは、今回のプロジェクトの中でも非常に大きな意味を持っていたと感じています。
データベース統合の次は、EC開発基盤へ
データベース統合の後には、どのような展開が見えてきたのでしょうか。
データベース統合によって、顧客情報を横断的に活用できる基盤が整ったことで、次の展開が具体的に見えてきました。それが、EC開発基盤の整備です。これまでは、サービスごとに個別の仕組みを整備していく形が中心でしたが、データベースが統合されたことで、新しいサービスを立ち上げる際にも、既存の顧客情報や仕組みを活用しながら進めていける環境が整ってきました。
この変化は非常に大きかったと思います。単にデータがまとまったということではなく、新しいサービスを生み出していくための土台が整ったという感覚がありました。
特にEC領域においては、サービスの立ち上げや改善をスピード感を持って進めていく必要があります。そのためにも、共通の基盤を持ち、必要な機能を柔軟に追加していける環境を整備していくことが、次の重要なテーマになっていきました。
今回のデータベース統合は、それ自体が目的ではなく、今後の事業展開を支えるための第一歩であったと感じています。将来的には、サービスごとに個別対応するのではなく、共通の基盤を活用しながら、新しい取り組みを次々と展開していくことができる。そのような環境を整えていくことが、これからの大きなテーマになっていくと考えています。
今回の取り組みを通じたオーシャンへの評価
今回の取り組みを振り返って、オーシャンへの評価をお聞かせください。
今回の取り組みを通じて最も印象に残っているのは、単なる開発を担う存在ではなく、事業のパートナーとして関わってくれたという点です。20数個のサービスを横断してデータを整理し、将来の展開を見据えた基盤を整備するという取り組みは、当社にとっても非常に大きな挑戦でした。
単にシステムを構築するだけではなく、「どのような順序で進めるべきか」「どこまでを対象とするべきか」「将来に向けてどのような形を目指すべきか」といった点について、一つひとつ整理しながら進めていく必要がありました。
その過程において、オーシャンは常に当社の立場に立ち、状況を整理しながら、複数の選択肢を提示してくれました。一つの方向に誘導するのではなく、それぞれの選択肢の意味や影響を丁寧に説明しながら、最終的な判断は私たち自身に委ねてくれたことは、非常に大きかったと感じています。その結果として、今回の取り組みは、単に「システムが完成した」というものではなく、自分たち自身が理解し、納得した上で進めることができたプロジェクトになりました。
また、プロジェクトの進行にあわせて、社内での理解が深まり、組織全体としてこの取り組みに関わっていく意識が生まれたことも、大きな成果だったと感じています。今回整備した基盤は、これからのサービス展開を支える重要な土台になります。その意味で、このプロジェクトは一つの単なるシステム構築ではなく、にとどまるものではなく、今後の事業の成長を支える基盤を共に作り上げた取り組みだったと感じています。そのような形で関わってくれたことに対して、非常に高い信頼と評価を持っています。


















