学生さんが企業インタビューに尋ねてきました

2013/09/16

先日、慶応大学の学生さんがオフィスに尋ねて来られました。就活中の学生向けに企業の「なかの人」に聞いてみた情報を発信されているそうです。原稿をいただいたのでこちらにも掲載します。

(以下、転載です)


会社名:オーシャン・アンド・パートナーズ
代表者:谷尾 薫
生年月日:1967年10月9日
出身地:大阪府(熊本育ち)
出身校:東京理科大学工学部
休日の過ごし方:子供と遊ぶ
趣味:釣り
心に残った本:成功者の告白


◎会社説明◎

社名の「オーシャン」には各々の得意分野を持つプロフェッショナルを集めて、難易度の高い仕事を果たすという映画の「オーシャンズ11」とのイメージを重ねておられます。

お客様から出される難題に対してシステム企画から設計・開発・運用保守をワンストップで提供している会社の谷尾代表にインタビュー!!

9月5日(金)

私たちは表参道駅に到着した瞬間呆然と立ち尽くしました。目の前にはGUCCIの看板が見え,周りにはFENDIやLOUIS VUITTONなどの高級ブランドが目に焼き付く。少し歩くとヨーロッパのような建物や風景ばかり。僕達学生には場違いだと思わずはいられなくなりました。。。さらに驚いたのがそのGUCCHIのビルの11階にオーシャンアンドパートナーズだったことです。ガチガチに緊張していましたが谷尾代表と話ししていくうちに徐々に和らいでいきました

自分は「オーシャンズ」シリーズがとても好きで、実際にあの様にプロフェッショナル集団集めて仕事をすることに憧れていました。いろいろ聞いてみたい事が多かったので待ちに待ったインタビューでした!!

以下インタビュー内容

◎学生時代◎

Q.学生時代はどのようなことをなさっていましたか?

谷尾代表(以下谷尾):もう20年近く前ですので正直あまり覚えていないです(笑)何やってたかなあ。。。まず、普通より2年を多く行っているんですよ。

S&K なぜ多く行かれたのですか?

谷尾:勉強に不熱心だっただけです(笑)学校自体も理系でしたので忙しくて進級にも厳しかったのですね。それもあって同じ土俵の友達と遊んだりアルバイトに精を出していました。特にディズニーランドで働いていた経験は印象深いですね。夢を壊してしまうのであまり深くは言えませんが、お客さんはとても楽しみに来てくれますし、自分たちも楽しませたいという思いで仕事をしていましたので自然と空気が明るく毎日がお祭りみたいでとても楽しかったですね。周りで愚痴を吐いてる人はいませんでしたし。もうバイトとか働くという感覚ではなかったですね。

(S&K: さすがディズニー。学生にとっては糸はお金のためだけにしかないというイメージが強いと思います。しかしディズニーはそれ以外の部分でいろいろ学べたり楽しめる環境を作れているということはすごいことだなあと感心してしまいます。やはり、そういう環境ができているからこそ年齢問わず何度も通うお客さんがいるのでしょう!)

Q.学生時代に一番印象に残った出来事は何ですか?

谷尾:バイクでツーリングをしながら旅行したことですね。特に1週間かけて北海道を一周回った時なんですけど、まっ直ぐな道を走りながら地平線を見たときには価値観が変わりました。スケールが大きすぎて、東京に帰ってきてもしばらくは上の空でぼーっとしていましたよ。その光景が忘れられなくて今でも毎日の様に思い出します。今まで見たことのない光景を見るのはいいですね。多分海外へ行ってもそうだと思うんですけど、いろいろな場所に行って景色を見たり、人と話したりして、普段の生活では触れられないものと触れると、価値観が変わると思います。

Q.就職活動は何時頃から始められましたか?

谷尾: 3年生の終わりくらいからですかね。学生時代にバブルがはじけたんですよ。でも学生って別に影響がないんです。企業で働いてる方とか、商売されている方は大変な苦労をされたと思うのですが、学生は「ああ弾けたんだ」ぐらいにしか思わないんです。でも唯一就職活動にだけは影響が出ていました。バブルの時は学生の売り手市場で全く困らないのですが、バブルが弾けたら一気に就職できなくなってしまうんですね。運のいいことにちょうど私は学生の売り手市場の最後の年でした。ですからぽんぽん内定頂きましたし、企業の方に知り合いはクルーザーに乗せてもらったり、美味しいご飯に連れて行ってもらったりと学生を接待するような状態でした。しかし翌年からはどこからも内定もらってないなんて人が多くて大変そうでしたね

(S&K: 今も売り手市場なんて言われてますけど、この頃に比べると大したことない気がします。恐るべしバブル。僕達も含め、これから就職活動する人のために今の就職状況についても聞いてみました)

Q.谷尾代表から見た今の就職状況についてどのように思いますか?

谷尾:今は売り手市場で、しばらくはあまり大きな動きはないと思います。ですから学生は比較的困らないのではないと感じます。逆に企業の採用担当者は大変だと思いますよ。全体の倍率として1.7倍と言われてますが、学生は知名度があったり就職ランキング上位の企業を受けるじゃないですか。だからあまり名の知れていない企業や中小のベンチャーなんかは人を獲得するのが難しいと思いますね。後、日本が少子化ですので22歳人口が減ってきています。ですから、中国等の優秀な人を獲得しようとする動きなんかもありますね。

Q.学生時代にやっておいた方が良いよかったかなっていうようなことありますか?

谷尾:数学ですね。内容云々は置いといて、数学的な発想やロジックというものを鍛えられると思います。特にコンピューターの世界ですので、そういったロジックを求められるんですね。インド人が高度な数学を学習して IT の世界に入ってきています。そういう人達が作るものはとても品質が良いです。やはり数学的な脳との相関関係があると思うんですね。

(S&K インタビューさせていただく中で数学的な発想、つまりロジカルシンキングをやっておくといいおくと良いというお話をよくお聞きします。論理的に考えられないと組織で行動できないかららしいです。何か行動するときリーダーが感性で動いていては、反論が出た時に組織の収拾がつかなくなってしまいます。そうではなく論理的に考え、しっかりとした理由をつけ、皆が納得した上で行動すれば、意見の食い違いがなくなり、組織がうまくまとまるということです)

◎就職時代◎

Q.学生から社会人になってどのように考え方が変わりましたか?

谷尾:会社に入るとメンターとして上司がつくんですね。富士通に入社したのですが、体育会系でめちゃくちゃ厳しいメンターでした。やはり、お金をもらっているんだから成果を出すの当たり前だと。また、高卒からガンガン働いている人と自分を比べて焦りを感じました。自分が平々凡々と大学生をしてるのに対して、同い年の人や年下の人が4年前後早く社会人になって働いてるわけですよ。自分は出遅れたたんじゃないかって思いましたね。

 Q. ある意味学生生活が無駄だったのではないかという考えになられたんですね

谷尾:そうですね。ましてや私は6年間も学生をやっていたのですから。その間にビジネスの世界をずっと経験しているという現状を目の当たりにして、正直気が気ではなかったです。

Q.今でも大学に行く必要はないとお考えですか?

谷尾:必要ですね。そう思ったきっかけはいろんな人を見たときに、大学を出ている人の方がキャパシティやポテンシャルは圧倒的に高いと感じたからです。明確な解はないんですけど大学4年間で幅広くいろんなことを学んだり考えたり期間を設けた人っていうのはその後の人生強いと思います。また大学に入るには受験勉強して入試を突破しなくてはいけませんよね。そこを突破した人というのは地頭の基盤など何かしら持っていると思います。もちろん高卒でもめちゃくちゃ優秀な人もいますよ。あくまでも相対的な話です。大学は意味ないとよく言われますが、私は行ってきちんと卒業するというのはとても大切だと思います。

(S&K: 僕はベンチャー企業のインターンシップに参加した際、自分と同世代でガンガン働いている人を見ました。正直大学なんて言ってる場合ではないと思いましたが、谷尾代表の心強い一言でしっかり学校を頑張ると思い直しました)

Q.仕事に関する心構えや仕事観が芽生えるのはいつ頃ですか? 

谷尾:一社目は日本を代表する企業の富士通に行き、二社目は外資系のオラクルに行きました。二社は全く違いましたね。富士通は体育会系、年功序列、終身雇用とよく言われる古き日本の体制でした。そこで、求められるのは上司部下の関係や会社への忠誠心だったり、勤勉さだったりします

そんな考え方が普通だと思ってオラクルと、根本から概念が崩れ落ちました。そこでは遊びと仕事は表裏一体という感じでした。遊ぶ時は真剣に遊び、仕事の時は真剣に働くというのが一番いいと。今は分かりませんが職場に遊びを持ち込んでもいいという部署がありました。勤務時間に音楽聞いてたりゲームしているんです。日本の企業では考えられないですよね(笑)

S&K:それはすごいですね!想像もつかないのですが。そういう会社ではどういったことが評価されるんでしょうか ?

谷尾:結果です。自分やチームで立てた目標に対して何%の達成率を出せたのかです。たぶん日本では寝食忘れて働くことも評価されると思うのですが、オラクルでは定時で帰ろうが何も言われず、評価は四半期でどんだけ成果出したの?も一点でした。ですから企業風土自体が違うんですよ。こういう勤務形態もあるのかと衝撃を受けました。

Q.谷尾代表二社の全く違った企業文化に触れたと思うんですけど、どちらの形態の方が好ましいですか?

谷尾:どちらも良い点と悪い点があって、人それぞれ考え方違うと思うのですが、私はオラクルの方が好きです。自由度が高くて性に合ってると思いますね。ただそのぶん人の流動性というものが早くなってだいたい3〜5年ぐらいで辞めていき、勤続10年みたいな人は一気に減りますが、それもありかなと思います。 Google社 も社内にはビリヤードがあって勤務時間中でもやってるらしいです。遊びと仕事の境界線が限りなくなくなっていますよね。遊びの中でも仕事に生きる感性や発想を培うことができる。これからはこういう時代なのかと思いますね。工場などの無理な分野もありますが、内資もこういう会社が増えてくると思います。

(S&K どちらの形態でも良い点悪い点があると思います。若い人からは外資系の考え方が新しく見えて魅力的に映るのではないかと思います。僕も一瞬そう思いましたが正直自分の中の仕事のイメージは古き日本のイメージが根付いているため実際外資系の風土で働いたとき、違和感を感じてしまい溶け込めないかもしれません。今はいろんな会社があるのだと知った上で、いろんな会社を素直な心で見ながら就職活動したいですね。)

◎企業後〜現在◎

Q.起業するきっかけをお聞かせください。

谷尾:僕が起業しようと決心したのは39歳の時でした。ビジネスプランを考えた時、会社にいてはできないと思いました。「そのまま会社で働く道」と「自分で看板あげて起業する道」の二択が頭によぎりました。家系がみんな商売人だったから DNA が働いたのか分かりませんが、ある時吹っ切れました。「とにかくやってみよう。とにかく挑戦してみよう。自分の力を確かめたい。会社ではなく自分に対する社会の評価を見たい。」そんな想いでした。潰れた時のリスクを考えても大したことありませんし、バイトでも派遣でも生活できますからね。その後ビジネスプランを考えたり、手続きをしたりして半年後に起業しました。

(S&K: 谷尾代表の意思の強さを感じました。長いサラリーマン生活が身についているでしょうし、家族もいる中で起業という道を選ぶのは相当な覚悟があったのだと思います。挑戦するとはこういうことなのかと感じ、心が熱くなりました)

Q.仕事に起きるポリシーや心がけてることは何ですか?

谷尾:いろいろあってその時々で変わってくるものだと思うのですが、今はクライアントとの接し方がテーマです。仕事柄多くのクライアントとお話をしていく中で、クライアントの気持ちを汲み取って提案するのですが、深く接しないと分からない部分が出てきます。ビジネスライクで付き合ってしまうと関係はお金だけになってしまい、浅くて長続きもしません。そうではなくお互いを認め、尊敬し合って、パートナーだと思って接すると、仕事が終了してもプライベートで付き合うようになり、何か困ったことがあると真っ先に相談される存在になります。とても良い循環が生まれるわけです。

あと手を出さない分野を決めています。例えば下請けはやらないとか、公共事業に手を出さないとか、技術者には口を出さないなどたくさんありますよ。もちろん理由があります。手を出さない分野を決めることで自分もやっていることが絞り込まれてくるんです。そうすると同じような会社と関係を築くことができます。また、専門分野(技術者等に)口を出さないということで専門分野の方と良好な関係を構築することができるんですよ。

Q.この会社をどのようにしていきたいですがビジョンをお聞かせください。

谷尾:大きく二つの道があります。一つ目の道はこの母体自体を成長させてビジネスの幅を広げていくことです。二つ目の道はフランチャイズビジネスとして地域展開していきたいと考えております。要は、私のような一人親方をいろんな地域に置くイメージです。ITの世界は独立した人が多いです。例えばプログラマーの人は作業を自宅でやっていたりして、作業場所を問わなくなってきました。しかし、仕事の流動性を考えると難しいのです。そこで私みたいな人が九州に拠点を置いて仕事を一緒に引き受けます。それを事業主でやっている人達にお願いする。技術者というのは就職だけが道ではなく、独立して自宅でガンガン働く方が生産性を高めることもしばしばです。これは新しい形態のビジネスにもなりますし、地域活性化にもつながると思います。

Q.今後会社を大きくしていく上で谷尾代表が欲しい人材像は?

谷尾:抽象的な表現になってしまうのですが、頭の良さですね。地頭が良くてその場その場で考えて問題解決できる人はいいですね。でも一番は素直さですね。素直に聞いて考えて行動して結果を出す。素直な人と仕事をしたいです。

Q.最後にお金についてどのような考え方がありますか?

谷尾:少し抽象的になってしまいますが、結果としてついてくるものだと思っています。ビジネス的な表現を使いますと、お客様の喜びが数字に変わったものと言います。ですから、お客様を最大限喜ばせると会社に多くのお金が集まります。そしてそれを頑張ってくれた社員に多く還元すると、社員の士気が上がります。その循環があると最終的に会社や自分に入ってきます。

(S&K:初めてお金に対する考え方を聞いてみました。お金とは?自分はメディアの影響かお金自体にあまり良いイメージを持ってませんでした。しかしいろいろ考えた結果、お金を稼ぐ事は素晴らしい事と思いました。しかし、お金を稼ぐために働いてしまったり使い方が下手だと駄目だと思います。

S&Kインタビュー後記


オーシャンアンドパートナーズはとても面白いビジネスモデルであり、自分たちも心踊ってしまいました。依頼されたら専門分野のエキスパートを募って終わったら解散し、また難題を依頼された時にチームを組むというまさに映画のオーシャンズ11を思い出します。谷尾代表はいろいろな会社で経験されたスキルはもちろんのこと経営者としての人格と熱い思いを持った素晴らしい人でした。今後要チェックな会社です!!)

◎会社概要◎


東京都港区北青山3−6−7 青山パラシオタワー11F

設立年月日 2007年7月3日

主要取引先 国内企業各社 

この記事を書いた人について

谷尾 薫
谷尾 薫
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事

富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。