システムベンダーの選び方の7つのポイントとは?選定の流れから評価の方法まで徹底解説

2025/05/23

企業が新たにシステムを導入したいと考えたとき、そのシステムを開発・運用するベンダー選定は非常に重要なステップです。システムベンダーを誤って選んでしまうと、開発の遅延や品質の低下、予算超過といったリスクが生じ、最悪の場合、業務に大きな影響を与えることにもなりかねませんシステムの導入は、企業にとって一大事業であり、成功するかどうかはシステムベンダー選びにかかっています。

本記事では、システムベンダーを選定するための重要なポイントを7つの観点から解説します。さらに、システムベンダー選定の流れや評価方法についても詳しく触れ、どのようにして自社に最適なベンダーを見極めるかについて実践的なアドバイスを提供します。システム導入を成功に導くためには、選定過程をしっかりと理解し、実行することが不可欠です。

是非、最後までご一読ください。

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システムベンダー選定とは?

システムベンダー選定は、企業の情報システムやソフトウェアを開発・導入するために、最適なパートナーを比較検討をして、最適な1社に委託を決定する重要なプロセスです。この選定プロセスは、導入するシステムの成功や運用効率に大きな影響を与えるため、慎重かつ計画的に行う必要があります。また、委託後に発生する保守やアップデートまで視野に入れ、体制の持続性とコミュニケーションの円滑さも確認すると、社内ノウハウ喪失や情報漏えいリスクを低減でき、結果的に長期的な視点で見た際に競争優位性を確保することができます。

システムベンダーを選定する際は、技術的な要件だけでなく、コミュニケーション能力や企業文化とのマッチングも重要なポイントとなります。

システムベンダーに依頼するメリット・デメリット

システムベンダーに依頼することにはさまざまなメリットとデメリットがあります。これらを理解することで、企業は自社のニーズに最適な選択ができるようになります。システム開発や導入の外部委託は、リソースの効率的な活用を可能にする一方で、外部との調整が必要になるため、注意が必要です。

また、外部のシステムベンダーを選ぶことで、専門知識やノウハウを活用できるだけでなく、時間やコストを削減できる場合もあります。こうした点を踏まえて、システムベンダーの選定は慎重に行うべきです。

メリット

システムベンダーに依頼する最大のメリットは、専門的な技術力と経験を活かした高品質なシステムを導入できる点です。外部の専門家がプロジェクトを担当することで、企業内部でのリソース不足やスキル不足を補うことができます。

さらに、システムベンダーは過去の導入事例に基づいたノウハウが豊富にあり、効率的でスムーズな開発・導入が期待できます。また、システムの運用や保守も任せることができ、企業側の負担を軽減することができます。これにより、長期的な視点でのコスト削減や業務効率化が図れることもあります。 

デメリット

一方で、システムベンダーに依頼する際のデメリットもあります。最も重要な点は、外部の業者に依頼することで発生するコミュニケーションコストです。プロジェクトの進行において、ベンダーとの間でスムーズな連携が取れないと、システム開発が遅延したり、予算オーバーになったりするリスクがあります。

また、ベンダー依存度が高くなることで、後々の変更や追加機能の対応に困難が生じる可能性もあります。特に、システムが複雑であるほど、ベンダーとの協力が重要となります。契約内容を十分に確認し、慎重に選定することが重要です。

システムベンダー選定の流れ

システムベンダー選定は、いくつかのステップを踏んで行います。これらのステップを順番に実行することで、最適なベンダーを選定することができます。それぞれのステップでしっかりと準備と確認を行うことが、プロジェクト成功の鍵となります。

特に、選定基準や評価項目を明確にしておくことで、後々の選定作業がスムーズに進みます。

ベンダー候補の調査

システムベンダー選定の第一歩は、ベンダー候補の調査です。まずは、自社のニーズに合ったシステム開発を手掛けている企業をリストアップします。業界やシステムの種類に特化したベンダーを選ぶことが大切です。

インターネットでの情報収集や、過去に同様のプロジェクトを成功させた企業の紹介を受けることも効果的です。

また、実際に候補となるベンダーのウェブサイトを訪れ、導入事例や対応可能なシステムの詳細を確認することも重要です。選定候補となるベンダーは、提供するサービスの範囲や対応分野を事前に調査し、絞り込む必要があります。 

RFIの作成

次に、RFI(Request for Information)を作成します。RFIは、ベンダーに対してシステム開発に関する基本的な情報を提供してもらうための文書です。これには、各ベンダーの技術力や導入実績、開発手法、提供するサポート体制などの情報を含みます。

RFIを通じて、ベンダーが自社の要件にどの程度応えられるかを確認することができます。RFIの作成では、要件を明確に伝え、ベンダーの適合度を初期段階で見極めることが可能になります。

もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください

RFPとRFIの違いとは?記載する項目や作成する4つのメリットを徹底解説!

RFPの作成

RFP(Request for Proposal)は、具体的な提案をベンダーに求める文書です。RFPを作成することで、各ベンダーがどのように自社の要件に対してアプローチし、どのような解決策を提供できるのかを明確にすることができます。

提案書には、費用、スケジュール、開発方法、導入後のサポート内容など、詳細な情報が含まれるため、選定時の重要な資料となります。RFPの内容は、自社の要求に基づいてベンダーがどれだけ柔軟に対応できるかを確認するための重要な手がかりとなります。

もっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください

RFPと要件定義書の違いは?RFIやRFQとの違いやRFPを作成するうえでの9つのポイントを解説

評価項目の作成

ベンダー選定を行う際には、評価項目を事前に設定しておくことが重要です。評価項目は、システムの機能性やコストだけでなく、ベンダーとの相性や将来的なサポート体制なども考慮に入れるべきです。評価項目を明確にすることで、後で比較検討を行う際にスムーズに進めることができます。

特に、システムの運用後のサポート体制や、ベンダーが提供する追加サービスなども評価項目に含めると良いでしょう。 

提案書の精査

ベンダーから提出された提案書を精査します。提案書にはシステムの詳細な設計図やスケジュール、費用が示されているため、これを基にベンダーの能力や提案内容が自社のニーズに合致しているかを確認します。

特に、費用対効果や納期の具体性に注目し、実行可能性があるかを検証します。提案書に記載されている内容が、自社の目指す目標と整合性が取れているかをチェックすることが非常に重要です。

最終評価

最終評価は、ベンダー選定の最終段階で行う重要なステップです。ここでは、前述の評価項目を基に、各ベンダーの提案内容を総合的に評価します。最終的にどのベンダーが最も自社の要件を満たし、信頼できるパートナーとして適切かを決定します。

この段階では、価格だけでなく、長期的なサポートや保守体制も考慮に入れた選定が求められます。選定後のアフターフォローが重要になることも考慮に入れると良いでしょう。

システムベンダーの選び方の7つのポイントを解説

システムベンダーを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。これらのポイントをしっかりと把握し、ベンダー選定に活かすことで、成功するシステム導入が実現できます。以下の7つのポイントを確認していきましょう。

①得意分野は何か

システムベンダーを選定する際に最も重要なポイントのひとつが、ベンダーの得意分野です。すべてのベンダーがすべてのシステムに対応できるわけではありません。自社のニーズに最も適した技術や業界に特化したベンダーを選ぶことで、より高品質で効率的なシステムが提供される可能性が高くなります

ベンダーが得意とする分野や実績を確認し、自社の業務にどれだけ適応できるかを見極めましょう。特に特定の技術や業界に精通しているベンダーを選ぶことで、導入後の運用がスムーズになることが期待されます。

②豊富な開発実績はあるか

システムベンダー選定において、開発実績は重要な評価基準となります。過去にどれだけ多くのシステムを開発したか、またそのシステムがどれほど成功しているかを確認することが、ベンダーの実力を把握する手がかりとなります。豊富な開発実績があるベンダーは、さまざまな課題に対応した経験があり、予期せぬ問題に対しても柔軟に対応できる可能性が高いです。

また、実績が豊富であれば、クライアントからの信頼も高く、質の高いシステムを提供してくれることが期待できます。

③コミュニケーション力があるか

システム開発において、ベンダーとのコミュニケーションは非常に重要です。プロジェクトが円滑に進むためには、ベンダーとの連携が必須であり、効果的なコミュニケーションが取れるかどうかが大きなポイントとなります。スムーズなコミュニケーションが取れるベンダーを選ぶことで、要件の変更や進行状況の確認が容易になり、納期や品質に関する問題も早期に対処できます。

例えば、進行中に問題が発生した場合にどれだけ迅速に対応できるか、どれだけ丁寧に進捗報告をしてくれるかなどが重要です。ベンダーがどれだけ丁寧に対応してくれるかを面談やメールで確認することが大切です。定期的なミーティングや報告会などを通じて、プロジェクト全体を常に把握できるようにしてもらうことも、選定時に確認しておくべき点です。

④費用は妥当な金額か

費用はシステムベンダー選定の重要な要素のひとつですが、単純に安いベンダーを選ぶのではなく、費用対効果を考慮する必要があります。予算に制限がある中で、システムの品質や機能をどう高めるか、またはコスト削減をどこで行うかを考えることが必要です。過度に安い提案をするベンダーは、後から追加費用が発生するリスクもあるため、提案内容が妥当かどうかをよく検討しましょう。

ベンダーが提示する見積もりには、すべての費用が含まれているか、または追加料金が発生する可能性がある項目を明確にしているかを確認することが重要です。さらに、価格だけでなく、提供されるシステムのサポート内容やアフターサービス、保守の範囲も考慮し、全体的なコストパフォーマンスを評価することが求められます。また、価格と品質のバランスが取れているかを確認することで、後々のトラブルを避けることができます。

⑤抜け漏れのない要件・提案になっているか

システム開発において、要件の抜け漏れがあると後々トラブルの元となります。特に、開発後に「思っていた機能がない」「追加機能が必要」といった事態を避けるために、最初に提出された提案が自社の要件をすべて満たしているかを確認しましょう。提案書を精査し、何か抜け漏れがないか、追加の要望に対してどのように対応するのかを確認することが大切です。

特に、仕様変更や追加の機能が必要になった場合、ベンダーがどれだけ迅速に対応できるかを事前に確認しておくことも、後々のトラブルを防ぐためには重要です。システム開発の段階で、顧客とベンダーとの要件確認のプロセスをきちんと設定し、要件の変更に柔軟に対応できる体制を整えておくことで、途中で発生する可能性のある問題を未然に防ぐことができます。提案内容が自社のニーズに合っているか、さらには将来的なスケーラビリティや拡張性も考慮しておくことが重要です。

⑥納期は自社の希望を満たしているか

納期はシステム開発において非常に重要な要素です。システムが遅れたり、納期が守られない場合、業務運営に大きな支障が出る可能性があります。自社の業務に合わせて、納期をしっかりと満たすことができるベンダーを選びましょう。

開発スケジュールを事前に明確にし、納期に対するベンダーの責任を明確化することが求められます。

大規模なシステム導入の場合、納期が遅れることで、他の業務に影響が及ぶ場合があるため、事前に納期についての確認は欠かせません。納期に遅れが発生するリスクを最小限に抑えるために、進捗管理が厳格に行われているか、ベンダーが納期を守るためにどのような対策を取っているかを確認することも重要です。また、予期しない問題が発生した場合でも、柔軟に対応できる体制を持っているかを見極めることも、納期を守るためには欠かせない要素です。

⑦企業としての将来性はあるか

システムベンダーを選定する際には、将来性も重要なポイントです。特に、長期的にシステムの運用や保守を依頼する場合、企業の安定性や成長性を見極めることが大切です。現在だけでなく、今後の技術革新や市場動向に適応できる柔軟な体制が整っているかを確認することが必要です。

将来的に、サポートが十分に受けられるか、技術の進化に対応できる体制が整っているかを確認しましょう。ベンダーが将来に向けてどのような戦略を持っているのかを理解し、長期的に信頼できるパートナーとなるかどうかを見極めることが大切です。例えば、企業の財務状況や業界での評判、過去の実績などを調査し、その企業の成長性を判断する材料にしましょう。

また、技術的なアップデートや新たな機能の追加にどれだけ対応できるか、将来的な拡張性にどれだけ自信があるかを確認することも、長期的な運用を考える上で重要な要素です。 

システムベンダーの評価の方法

システムベンダーを選定するためには、評価方法をしっかりと定めることが必要です。評価の基準を明確にすることで、比較検討がスムーズに進みます。システム導入の成功を確実にするためには、最初の段階で評価基準をしっかりと固め、計画的に選定プロセスを進めることが非常に重要です。

これにより、最終的に自社の要件に最も適したベンダーを見つけることができ、業務効率化やコスト削減、システムの品質向上が実現できます。 

評価するための切り口を定める

ベンダーを評価する際は、どの要素を重視するかを決めておくことが重要です。技術的な要件やコスト面、納期、サポート体制など、評価する切り口を整理し、何を最も重視するかを明確にしましょう。例えば、システムの性能や機能性に加え、ベンダーが提供するサポート体制やシステムの拡張性、将来的なアップデートへの対応力も重視することが必要です。

評価の切り口を複数設定することで、全体的なバランスを取った比較が可能となります。また、予算の制約がある場合、コストに対する評価を重視し、最適な価格で高品質なシステムを導入できるかどうかを確認することも重要です。

具体的な評価項目を定める

評価項目は、システムの機能性や開発スケジュールだけでなく、ベンダーとのコミュニケーションのしやすさや企業文化のマッチングも考慮に入れるべきです。例えば、「対応スピード」や「問題解決能力」など、具体的な項目を定めることが効果的です。ベンダーとのやり取りのスムーズさや、どれだけ自社のニーズに柔軟に対応できるかも重要な要素となります。

さらに、システムのセキュリティ対策やリスク管理の方法、システム障害が発生した際の対応能力も評価項目に加えるべきです。また、ベンダーが過去にどのような実績を上げてきたかを参考にし、その実績を基に信頼性や安定性を評価することも重要なポイントです.。

評価項目の配点を決める

各評価項目にどの程度の重要度を置くかを決めることで、比較がしやすくなります。例えば、コストが重要であればその項目に高い配点を与え、納期が重視される場合はその項目に高評価を与えるといった具合です。特に、システムの導入後のサポート体制や保守契約についても重要な項目として扱うべきです。

各項目の配点は、システムが導入される目的や自社の業務に与える影響を考慮して、合理的に設定することが求められます。評価項目の配点を明確にしておくことで、最終的にベンダー選定を行う際に、重要な要素に基づいて決定を下すことができます。また、配点を決めることで、数値的な比較がしやすくなるため、選定作業をより客観的に進めることが可能になります。

評価結果を比較しベンダーを選定する

最終的に、評価結果を総合的に比較し、最も自社のニーズに合ったベンダーを選定します。この段階で、数社を絞り込むことができるため、選定後は早めに契約を結ぶことが重要です。ベンダー間での比較においては、選定基準を再確認し、どのベンダーが自社の要件を最も満たしているかを見極める必要があります。

比較結果に基づき、価格や納期の面でも最適な選択をすることが大切です。

また、最終選定時には、ベンダーの提案内容に加えて、長期的な視点でのパートナーシップを重視することが、システム導入後の成功を左右する要因となります。評価結果を比較する際には、数値的なデータだけでなく、ベンダーとの相性や信頼性も重要な要素となります。

システムベンダーについてのご相談はオーシャン・アンド・パートナーズまで

システムベンダー選定は、企業のITインフラを支える重要なプロセスです。どのベンダーが自社のニーズに最適なのかを見極めるためには、選定基準をしっかりと定め、評価項目を詳細に設計することが大切です。

しっかりとした選定プロセスを踏むことで、満足のいくシステムが導入でき、業務効率も大きく向上することでしょう。

オーシャン・アンド・パートナーズでは、システム開発に関する豊富な経験と実績をもとに、最適なソリューションを提供しています。詳細については、オーシャン・アンド・パートナーズの公式サイトをご覧ください。システムベンダー選定を成功させるために役立つ資料も下記よりダウンロードいただけます。

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この記事を書いた人について

神川智子
神川智子
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社

一児の母として子育てに奮闘しながら、オーシャン・アンド・パートナーズの代表者および技術チームメンバーの補佐に従事。
実務の現場に寄り添い、日々の会話や支援を通して見えてきた“リアル”を、等身大の視点でお届けしています。