システム開発業界の裏事情

2018/02/26


あなたがシステム開発するときの注意点は、システム開発会社の裏事情を知ることで見えてきます。

1.要望を聞くふりをして金額を上げる
2.コンペのとき必要以上に安くする
3.リスクを取ることはお客さんに押し付ける
4.スケジュールの遅れは、中身を決めてくれないお客さんのせいにする。
5.注文を貰うため、何でもできるフリをしようとする

簡単に列記しましたが、依然としてシステム業界は、このような問題を抱えています。ただ、全ての会社に問題があるわけではありません。大切なことは発注する側も、問題の根深さを知り、正しい知識を身につけて交渉することだと思います。

なぜ、システム開発会社は依頼者の要望を、全て満たそうとするのでしょうか。表面的には依頼者を尊重するように見える開発姿勢ですが、そこには請求費用をアップさせるカラクリがあります。

まず、要望を全て満たすと発生する一番大きな問題は、「保守費用(ランニングコスト)がかさむ」という点です。

かさむ理由は、「あれも、これも・・・」という要望を全て取り入れると、システムが大きくなり、それに伴って保守作業量が増えるからです。一般に、システム開発会社に支払う保守費用(ランニングコスト)の算出には、開発費用も勘案されます。
つまり開発費用が増大すると、保守費用(ランニングコスト)もかさむのです。

これだけではありません。実は、依頼者が気付かないもっと大きな問題があります。

機能が盛り沢山のシステムは、一見利用者の手間を減らせるようですが、その一方で業務の柔軟性が損なわれます。ビジネス環境の変化へ対応するためには、システム側に手を入れることで対処せざるを得なくなります。しかし、すでに業務の大部分は、システムと全く切り離せないほど依存度が高まっており、ニッチもサッチもいきません。

こうしてシステム開発会社に出番が廻ります。
依頼者はシステムを維持し続けるために、本来なら無くても済む追加修正費用(ランニングコスト)を払い続けなければなりません。

このように、システム開発会社は、依頼者発のニーズに対応することをもっぱらとする限り、オーダーの機会が増え、ノーリスクで収入を確保できるわけです。
これがまさしくカラクリなのです。

ではどうして、コンペの見積もりは当てにならないのか?なぜ力のある業者は、コンペを辞退するのか?コンペの裏側に隠れたトリックと業者の心理が分かります。

「アイディア」で勝負できないシステム開発会社

“発想力”に乏しいシステム開発会社は、アイディアで勝負できないため、最終的には「価格」でしか、選定基準を示すことができません。

そこでライバルよりも「少しでも安く」に躍起になります。もし初回の受注で利益を削っても、仕様追加や保守で稼げる構図があるため、過度なダンピングが起こります。

とくに仕事に困っている業者は、「ホテルの空室理論」に倣い、極端な価格提示を行うことがあります。これがコンペの見積もりはまったく当てにならない最大の理由です。

なぜ力のある業者は、コンペを辞退するのか?

コンペにあたりシステム開発会社の負担は、依頼者が想像するより大きいものがあります。力のある業者は、評判が評判を呼んで、仕事が向こうからやってくるという状況にありますので、わざわざ苦労を買ってコンペに出る必要はありません。

さらにコンペでは、提案料が支払われることはありません。つまり業者は無料でアイディアの提供を求められるのです。“発想力”を武器にする業者は、アイディアは知的財産であり、無償で提供されるべきではないという思想を持ちます。依頼者から求められる提案ひとつとっても、彼らは真剣勝負で望み、その依頼者のためだけにオリジナルのアイディアをひねり出そうとします。つまり無料で繰り広げられるコンペの舞台はそぐわないのです。

この記事を書いた人について

谷尾 薫
谷尾 薫
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事

富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。