ITコスト削減の5つの方法を解説!削減を行う3つのメリットや注意点・成功事例も紹介!
企業経営において避けて通れないのがITコストの問題です。デジタル化が加速する現代ビジネス環境では、競争力維持のためのIT投資は不可欠ですが、その一方でコスト増大に悩む企業も少なくありません。システムの導入や開発を検討する際、コスト面での懸念は常につきまとい、経営判断を難しくします。
しかし、適切な戦略を持ってITコストに向き合えば、ビジネスの成長を阻害することなく最適化が可能です。効率的なIT投資は、単なる支出削減だけでなく、業務効率化や新たな価値創造にもつながります。
本記事では、ITコスト削減の具体的な方法やそのメリット、実施する際の注意点、そして実際の成功事例までを詳しく解説します。
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目次
ITコストとは?
ITコストとは、企業が情報システムの導入・運用・保守に関わる全ての費用のことを指します。ハードウェアやソフトウェアの調達費用はもちろん、システム開発費、保守料金、関連人材の人件費まで、多岐にわたる支出が含まれます。
企業活動におけるデジタル化が急速に進展する現代において、このITコストの適切な管理はビジネスの競争力を左右する重要な経営課題の一つとなっています。過剰な投資は財務を圧迫し、逆に不十分な投資はビジネスチャンスの損失につながりかねません。経営戦略とIT戦略を密接に連携させ、投資対効果を最大化するITコスト管理が、今日の企業経営者には求められているのです。
直接コスト
直接コストとは、IT関連の支出のうち、明確に把握できる費用のことです。具体的には、ハードウェア(サーバー、PC、ネットワーク機器など)の購入費用やリース料金が挙げられます。また、ソフトウェアのライセンス料やクラウドサービスの利用料金も直接コストに含まれます。その他、システム開発やカスタマイズにかかる費用、保守・運用のための外部ベンダーへの委託費用なども直接コストの一部です。
これらは会計上も明確に「IT投資」として計上されるため、比較的管理しやすい費用と言えるでしょう。しかし、直接コストだけがITコストの全てではありません。
間接コスト
間接コストとは、IT関連の支出のうち、明確には把握しにくい費用のことです。例えば、社内のIT部門の人件費や教育費用が挙げられます。
また、システムの障害対応や、ユーザーからの問い合わせ対応にかかる時間的コストも間接コストに含まれます。さらに、システムの導入や変更に伴う業務プロセスの再設計や、従業員の習熟にかかる時間なども間接コストと言えるでしょう。
これらの間接コストは、直接コストと比べて「見えにくい」ため、実際のITコストを考える際には注意が必要です。実は、ITコスト全体の中で間接コストが占める割合は決して小さくないのです。
ITコストが増える原因
近年、多くの企業でITコストの増加が深刻な問題となっています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やテレワーク環境の整備など、IT投資の必要性が高まる一方で、予算の制約も厳しくなるというジレンマに直面している企業は少なくありません。さまざまな要因が複雑に絡み合い、ITコストは年々上昇傾向にあります。
この状況を改善するためには、まずITコストが増加する根本的な原因を理解することが重要です。なぜITコストは増え続けるのでしょうか。ここでは、多くの企業が直面するITコスト増加の主な原因を詳しく見ていきましょう。
クラウドサービスの普及
クラウドサービスの普及により、初期投資を抑えてシステムを導入できるようになりました。しかし、長期的に見ると月額課金の積み重ねが予想以上のコストとなることがあります。
クラウドサービスは導入が簡単なため、各部門が独自に導入してしまい、全社的な把握ができていないケースも少なくありません。また、使わなくなったサービスの解約忘れや、過剰なプランの契約なども隠れたコスト増の原因となっています。
さらに、データ転送量に応じた従量課金や、APIコール数に応じた課金など、利用量が増えると予想外にコストが膨らむ場合もあります。クラウドの導入は慎重に行わないと、コスト削減どころかコスト増加を招く恐れがあるのです。
IT人材不足
IT人材の不足は、コスト増加の大きな要因です。専門知識を持つ人材の採用コストは年々高騰しており、また、人材の確保ができないことで外部委託に頼らざるを得ないケースも増えています。
外部委託の場合、内製よりも高額になることが多く、また、細かな改修や運用の度に費用が発生するため、長期的に見るとコスト高になりがちです。
さらに、ITに詳しい社内人材がいないと、ベンダーとの交渉力も弱まり、適正価格での契約が難しくなります。IT人材の育成には時間もコストもかかりますが、長期的な視点では社内にIT知識を持つ人材を確保することがコスト削減につながる可能性があります。
老朽化したITインフラ
老朽化したITインフラの維持は、高コストの要因となります。古いシステムは保守費用が高く、また障害発生時の影響も大きいため、結果的にコストが増大します。
レガシーシステムは、現代の技術と比べて効率が悪く、運用にも多くの工数がかかります。また、古いシステムに詳しい技術者も減少しており、保守要員の確保も難しくなっています。
さらに、新しいビジネス要件に対応するためのカスタマイズが複雑化し、その都度多額の開発費用が発生することも少なくありません。システムの更新を先送りにすればするほど、最終的なコスト負担は大きくなる傾向があります。
セキュリティ対策の強化
サイバー攻撃の脅威が増大する中、セキュリティ対策の強化は必須となっていますが、これもITコスト増加の一因です。セキュリティソフトやサービスの導入費用は年々高騰しています。
また、セキュリティ監視や脆弱性診断などの定期的な対策も必要で、これらも継続的なコストとなります。さらに、セキュリティインシデント発生時の対応や、被害復旧にかかるコストも考慮する必要があります。
セキュリティ対策はコスト削減の対象とはしにくい領域ですが、適切な対策レベルの設定や、効率的な運用方法の検討は必要でしょう。
各部門のIT投資の重複
各部門が独自にIT投資を行うことで、類似機能のシステムやサービスが社内で重複し、全体としてのコスト増加を招いています。例えば、営業部門と顧客サービス部門が別々のCRMシステムを導入するケースなどです。
また、部門ごとに異なるクラウドストレージサービスを利用していたり、同じような機能を持つSaaSを複数契約していたりすることも珍しくありません。これらの重複は、ライセンス料の無駄だけでなく、データの整合性確保のための追加コストも発生させます。
全社的なIT投資の可視化と統制がなければ、このような「サイロ化」によるコスト増加は避けられません。IT戦略の一元管理が重要になるでしょう。
ITコスト削減の5つの方法
ITコストを効果的に削減するためには、単純な予算カットではなく、戦略的かつ体系的なアプローチが必要です。短期的な支出削減だけを目指すのではなく、中長期的な視点でビジネス価値の最大化とコスト最適化のバランスを取ることが重要です。
また、削減策の実施にあたっては、現場の業務に与える影響や潜在的なリスクも慎重に評価する必要があります。ITコスト削減は一度きりの施策ではなく、継続的な改善プロセスとして捉えるべきでしょう。ここでは、多くの企業で実績のある、効果的かつ実践的なITコスト削減の5つの方法について詳しく解説します。これらの方法を状況に応じて組み合わせることで、最大の効果を得ることができるでしょう。
ITコストを効果的に削減するためには、戦略的なアプローチが必要です。ここでは、具体的な5つの方法について解説します。
①契約ベンダーを整理する
多くの企業では、複数のベンダーと契約を結んでいます。これらを整理することで、大幅なコスト削減が可能です。
まずは現在の契約内容を全て洗い出し、重複しているサービスがないか確認しましょう。
次に、同じベンダーに複数のサービスを依頼することで、ボリュームディスカウントを受けられないか交渉してみることも有効です。また、長期契約に切り替えることで月額料金が下がるケースもあります。
さらに、定期的に市場調査を行い、より良い条件を提示してくれるベンダーがないか探すことも大切です。ベンダーとの関係を見直すことで、サービスの質を落とさずにコスト削減ができる可能性があります。
②新技術や設備の導入を行う
一見、新技術や設備の導入はコスト増に思えますが、長期的には大きなコスト削減につながることがあります。例えば、クラウド化によるサーバー運用コストの削減や、仮想化技術によるハードウェア集約などが挙げられます。
また、自動化ツールの導入により、定型業務にかかる人的コストを削減することも可能です。AIやRPAなどの技術を活用することで、データ入力や分析、レポート作成などの業務効率が飛躍的に向上します。
ただし、新技術導入の際には、導入コストだけでなく、運用・保守コストや従業員の教育コストなども含めた総所有コスト(TCO)を算出し、本当に削減につながるかを見極めることが重要です。
③ナレッジの共有を行う
ITに関するナレッジを社内で共有することで、コスト削減につながります。例えば、システムのトラブルシューティング方法や、効率的なソフトウェアの使い方などの情報を共有することで、外部サポートへの依存度を下げることができます。
また、業務プロセスやシステム操作のマニュアルを整備し、社内で活用することで、新入社員の教育コストも削減できるでしょう。さらに、過去のシステム開発や導入の経験から得られた知見を蓄積しておくことで、将来の類似プロジェクトでの失敗を防ぎ、余計なコストを回避できます。
ナレッジ共有のためのプラットフォームとしては、社内Wikiやイントラネット、チャットツールなどを活用するとよいでしょう。情報が属人化せず、組織全体の資産となることがコスト削減の鍵となります。
④ルーティンワークの自動化を行う
定型的な業務(ルーティンワーク)の自動化は、人的コストの削減に直結します。例えば、データの集計・分析作業や、定期的なレポート作成などを自動化することで、社員の作業時間を大幅に削減できます。
自動化のためのツールとしては、RPAソフトウェアやマクロ、バッチ処理などがあります。また、クラウドサービスの多くは、APIを提供しているため、これらを活用して異なるシステム間のデータ連携を自動化することも可能です。自動化を進める際には、まず業務の棚卸しを行い、自動化の効果が高い業務を特定することが重要です。
すべてを一度に自動化しようとするのではなく、効果の高いものから順に取り組むことで、費用対効果の高い自動化が実現できるでしょう。
⑤ITリテラシーの向上を行う
従業員のITリテラシーを向上させることも、長期的なコスト削減につながります。ITに関する基本的な知識があれば、簡単なトラブルは自分で解決できるようになり、ヘルプデスクへの問い合わせが減少します。
また、ソフトウェアの効率的な使い方を学ぶことで、業務効率が向上し、間接的なコスト削減にもつながります。さらに、ITリテラシーが高まれば、システム導入時の要件定義がより的確になり、無駄な機能の開発を防ぐことができます。
ITリテラシー向上のためには、定期的な研修やeラーニングの提供、IT部門による勉強会の開催などが効果的です。コスト面だけでなく、セキュリティリスクの低減にもつながる重要な取り組みと言えるでしょう。
ITコスト削減を行う3つのメリット
ITコスト削減は単に支出を減らすだけではなく、企業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、ITコスト削減によって得られる3つの主なメリットについて見ていきましょう。
①従業員のモチベーションが上がる
効率的なITシステムの導入により、従業員の業務負担が軽減されます。これにより、創造的な業務や戦略的な思考に時間を割けるようになり、従業員のモチベーション向上につながります。また、使いやすく効率的なシステムは、従業員のストレス軽減にも貢献します。システムの応答速度が上がる、操作が簡単になるなどの改善は、日々の業務の快適さを大きく向上させるでしょう。
さらに、ITコスト削減の取り組みに従業員自身が参加することで、「会社の経営に貢献している」という実感が得られ、エンゲージメントの向上にもつながります。コスト意識の高い組織文化の醸成も、副次的な効果と言えるでしょう。
②経営資源をコアビジネスや成長戦略に集中させられる
ITコストを削減することで、限られた経営資源をコアビジネスや成長戦略に集中投下できるようになります。維持コストに縛られず、新規事業開発や市場拡大などの攻めの投資にリソースを割けるようになるのです。
また、効率的なITインフラは、新しいビジネスモデルやサービスの迅速な展開を支援します。システムの柔軟性が高まることで、市場変化への対応力も向上し、ビジネスチャンスを逃さない体制が整います。
さらに、データ分析基盤の整備などに投資できるようになれば、経営判断の精度向上にも貢献します。ITコスト削減は、単なる「コスト削減」ではなく、「投資の最適化」という視点で捉えることが重要です。
③企業イメージが上がる
効率的なITシステムの活用は、顧客サービスの質向上にもつながります。レスポンスの迅速化やオンラインサービスの充実などにより、顧客満足度が高まり、企業イメージの向上に貢献します。また、ITコストの最適化により、製品やサービスの価格競争力が高まる可能性もあります。コスト削減の恩恵を価格に反映させることで、市場シェアの拡大も期待できるでしょう。
さらに、環境負荷の低減という面でも、ITコスト削減は企業イメージ向上に貢献します。サーバーの集約や電力消費の削減などは、環境に配慮した企業としてのイメージアップにつながります。ESG投資の観点からも評価される要素となるでしょう。
ITコスト削減を行う際の注意点
ITコスト削減を効果的に進めるためには、いくつかの注意点があります。短期的な視点だけでなく、長期的な影響も考慮した慎重なアプローチが必要です。
前もってシミュレーションを行う
ITコスト削減を実施する前に、その影響をシミュレーションすることが重要です。コスト削減策が業務プロセスやシステムパフォーマンスにどのような影響を与えるか、事前に検証しておきましょう。
例えば、サーバーの統合を行う場合、性能面での影響はないか、障害発生時のリスクは増大しないかなどを確認します。また、クラウド移行の場合は、データ転送量や利用頻度なども加味した総コストのシミュレーションが必要です。シミュレーションには、現場の意見を取り入れることも重要です。実際にシステムを使用する従業員の視点からの問題点の指摘は、机上の計算では見落としがちな要素を明らかにしてくれます。
費用対効果を考える
コスト削減だけを目的とした取り組みは、長期的には逆効果になることがあります。必ず費用対効果の視点から判断することが重要です。特に、セキュリティ対策や品質管理などの領域での過度なコスト削減は、大きなリスクとなりかねません。
また、短期的なコスト削減効果と長期的な影響のバランスも考慮すべきです。例えば、システム更新の先送りは短期的にはコスト削減になりますが、長期的には保守コストの増大や業務効率の低下を招く可能性があります。
さらに、「見えないコスト」にも注意が必要です。例えば、使いにくいシステムを導入することで従業員の業務効率が下がる、セキュリティ対策の不備によるインシデント対応コストが発生するなど、表面上のコスト削減が隠れたコストを生み出すケースは少なくありません。
ITコスト削減の成功事例3選
実際にITコスト削減に取り組み、目覚ましい成果を上げた企業の事例から学ぶことは非常に価値があります。これらの企業は単なる費用カットではなく、ビジネス成長と両立する戦略的なコスト最適化を実現しています。他社の成功モデルを参考にすることで、自社に適したアプローチや実践的な手法を見出すヒントが得られるでしょう。
製造業、サービス業、金融業など、業種を問わず多くの企業がクラウド移行やシステム統合、ライセンス管理の最適化などを通じて大幅なコスト削減に成功しています。
ここでは、異なる業種や規模の企業による具体的な成功事例を3つ紹介します。
信用保証情報を扱う基幹システムの刷新企業
オーシャン・アンド・パートナーズの支援により、老朽化した基幹システムの刷新を実施しました。現行システムは取引量の増加に対応できず、業務効率の低下が課題となっていましたが、最新の基幹システムを導入することで、追加の取引や顧客増加にも柔軟かつ低コストで対応可能となりました。
これにより、業務プロセスの効率化とITコスト削減を同時に実現し、売上も増加する成果を上げています。システム刷新にあたっては、現状調査や業務整理を丁寧に行い、ITコンサルタントの伴走支援のもと、事業戦略と連動したデジタル化を推進。業務効率化ツールの開発も併せて行い、付加価値向上にも寄与しました。
Eマーケットプレイス企業
比較サイトや一括見積サービスを展開するEマーケットプレイス企業は、事業拡大に伴い基幹システムの再構築をオーシャン・アンド・パートナーズに依頼していただきました。20以上のサイトとデータベースの統合が最重要課題とされ、開発期間中は「ビジネス研究会」と称した社内ディスカッションを定期開催し、社員の新規ビジネス企画力や意欲の醸成も図りました。
さらに、従来の紹介料ビジネスに加え、EC事業の強化を決定し、短期間で複数のECサイトを立ち上げられる開発基盤を構築。これにより、ビジネスの機動力が大幅に向上し、ITコストの最適化や業務効率化を実現しました。
金融機関向け教育サービス企業
金融機関向け教育サービスを提供する中で、オーシャン・アンド・パートナーズに基幹システムの全面刷新を依頼しました。従来は個人・法人向けでシステムが分かれ、情報集約やマイページ作成が困難、教材発送会社への顧客データ送付も手作業で非効率、さらにセキュリティ面の課題も抱えていました。
新システムでは「販売管理」「顧客管理」「サービス提供状況の管理」を統合し、外部企業とのデータ連携やWebサイトのスマートフォン対応も実現。設計・開発に十分な時間をかけたことで、業務効率化と顧客サービス向上、IT基盤の強化を同時に達成しました。
ITでコスト削減するならオーシャン・アンド・パートナーズまで!

ITコスト削減は企業競争力を高め、ビジネス成長を促進する重要な取り組みです。オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社では、ITコスト最適化のための包括的なソリューションを提供しています。既存システムの課題分析から改善策の実施まで一貫してサポートし、豊富な開発経験と高い専門性で、最適なITインフラ環境を構築します。
また、アプリケーション開発においても、システム連携やクラウド活用など多様なニーズに対応。コスト効率の高いシステム実現をお手伝いします。
ITコストにお悩みの企業様は、ぜひオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社にご相談ください。
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この記事を書いた人について

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オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社
一児の母として子育てに奮闘しながら、オーシャン・アンド・パートナーズの代表者および技術チームメンバーの補佐に従事。
実務の現場に寄り添い、日々の会話や支援を通して見えてきた“リアル”を、等身大の視点でお届けしています。