データ利活用とは?目的や成功させる方法・4つの分析手法を徹底解説!

2015/04/06

「利活用」という言葉を耳にする機会が増えていますが、その言葉に違和感を感じたことはありませんか? この表現は「利用」と「活用」を組み合わせた造語で、特に行政文書で多用されているのが特徴です。

こうした言葉の背景はさておき、現在のビジネス環境において重要なのは、企業が持つ膨大なデータを効果的に活用することで、業務効率化や新たなビジネス機会の創出が可能になります。しかし、多くの企業がデータを収集しているものの、それを戦略的に活用できていないのが現状です。

本記事では、データ利活用の基本から具体的な実践方法、効果的な分析手法まで、成功に導くための重要なポイントを詳しく解説します。

データ利活用とは?

一般的に「利活用」とは、Weblio辞書では「利用」と「活用」を掛け合わせた言葉と定義し、「土地の利活用」や「ITの利活用」のように使われると説明されています。行政用語として「お役所言葉」に該当する、という解説も付け加えられています。

「利用」と「活用」2つの言葉の意味を掛け合わせた言葉。「土地の利活用」、「ITの利活用」といった具合に使われる。「整備文」の中で主に使われる、お役所言葉。

また、Yahoo!知恵袋では「利活用」について、「利用と活用を組み合わせた造語で、特に深く考えずに使われている」との指摘や、「何かを無駄にしていないように見せるための表現ではないか」といった意見も見受けられます。

利用と活用を合体させて、お役所言葉ですので、真剣に考えない方がよいでしょう。
利用、でも、活用、でもいいことです。
お役所言葉のウラの意味は「せっかく作った○○を、ムダには見えないように、一生懸命利用・活用されているように見せること」というようなことでしょうか

同じくYahoo知恵袋です。

利用も活用も似たような意味ではあるけれど、「活用」の方が一層上手に能力をフルに引き出してあげている、と感じる人が多いと思います。わざわざ利用+活用と合体する意図としては、「単に利用してもらうだけでももちろん結構なのだけれど、更に”活用”のレベルまで使いきっていただけたら嬉しいんです」みたいな語感にしたいのでしょうね。

「利用」と「活用」は似た意味を持ちながらも、「活用」のほうがより効果的で、潜在的な力を引き出しているイメージを持つ人が多いようです。そのため、「利活用」という言葉には「ただ使うだけでなく、もっと積極的に役立てる」というメッセージが込められている可能性があります。

本記事で扱う「データ利活用」とは、企業や組織が日々蓄積している様々なデータを単に保管するだけでなく、戦略的に分析・解釈し、ビジネスの意思決定や業務改善に役立てることを指します。これは従来の「データを集めて報告書を作る」レベルを超えて、データから得られるインサイトを実際のアクションや成果につなげることを重視したアプローチです。

具体的には、売上データから顧客の購買パターンを読み解いて商品戦略を立てたり、業務データから効率化のポイントを見つけて生産性を向上させたりすることが含まれます。つまり、データを「情報資産」として捉え、それを競争優位性の源泉として最大限に「利用」し「活用」することが、真のデータ利活用なのです。

データ利活用の目的

データ利活用の目的は、ただ数字を集めて並べることではありません。その中にある小さなヒントを見つけて、仕事や判断に活かすことこそが大切です。

たとえば、売上の動きやお客様の行動から傾向を読み取れば、提案の仕方やサービスの内容を見直すきっかけになります。また、スタッフの作業時間や進捗の偏りを分析することで、業務の無駄に気づき、働き方を整えることもできるでしょう。

データを“使う前提”で集めてみると、日々の業務の見え方も変わってきます。そこから新しい気づきや行動が生まれ、より効率的な仕事につながっていきます

データ利活用を成功させる方法

データ利活用をうまく進めるには、いきなり分析に入るのではなく、段階ごとに丁寧に取り組むことが大切です。データの選び方や考え方の方向性を丁寧に整えていくことが、成功につながる確かなステップになります。

ここでは、活用の流れに沿って「データの特定」「仮説の立て方」「前処理」「分析」「考察と結論づけ」まで、実践的な進め方を順を追って紹介していきます。

対象となるデータを特定

データ利活用を始めるなら、まずは「どんなデータを使うか」をはっきりさせることが出発点です。 手あたり次第に集めるのではなく、目的に合わせて必要なデータを見極めることが重要です。

たとえば売上を上げたいなら、購買履歴や顧客の行動データに注目するのが効果的です。ゴールを明確にしたうえで、価値ある情報に焦点を当てることが、活用の精度を高めるポイントになります。

仮説思考に基づいたデータを収集

データを集める前に、「この数字が〇〇に関係していそう」といった仮説を立てておくと、集める情報にブレがなくなります。やみくもに集めるのではなく、目的に合ったデータだけを効率よく選び取ることがポイントです。

たとえば「リピート率を上げたい」と考えるなら、購入回数や間隔、購入商品などに注目する仮説が立てられます。仮説をもとに集めたデータは、後の分析にもつながりやすく、納得感のある判断材料になります。

データ分析の前処理を行う

集めたデータは、そのままでは使いにくいことがよくあります。空欄があったり、表記がバラバラだったり、不要な情報が混ざっていることも少なくありません。

そこで必要になるのが、データ分析の前処理です。たとえば、不要な列を削除したり、表記を統一したりといった作業を通じて、分析しやすい状態へ整えていきます。

この前処理を丁寧に行っておくと、後の分析結果の信頼性が高まり、判断ミスも減らすことができます。

データを分析する

前処理が終わったデータは、いよいよ分析の段階に入ります。このフェーズでは、数字の傾向や関係性を見つけ出し、課題の本質や改善のヒントを探っていきます。

たとえば売上の推移を時系列で見たり、年代別の顧客行動を比較したりすることで、思いがけない気づきが生まれることもあります。分析の目的を明確にし、適した手法を選ぶことが、データ利活用の成否を分ける大きなポイントです。

分析結果を考察し結論づける

分析したデータは、結果を眺めて終わりではありません。どんな意味があるのかを考え、なぜそうなったのかを掘り下げていくことが重要です。数字の背景にある現場の状況や人の動きまで想像することで、より実践的な結論を導くことができます。


結果から見えてきた課題や可能性をもとに、次のアクションを考えるところまでが、データ利活用の大切なステップです。

データ利活用の4つの分析手法

データ利活用には、目的に応じた分析手法を選ぶことが欠かせません。ここでは、よく使われる4つの代表的な分析方法を紹介し、それぞれの特徴や使いどころをわかりやすく解説します。

①記述的分析

記述的分析は、集めたデータの現状をわかりやすく整理して「見える化」する手法です。 売上の推移や顧客数の増減、属性ごとの傾向など、今起きていることを把握するために使われます。

グラフや表を使って情報をまとめることで、直感的に状況をつかむことができ、チーム内での共有もしやすくなります。分析の第一歩として活用される場面が多く、ここで得られる気づきが、次のステップへつながる土台になります。

②診断的分析

診断的分析は、「なぜその結果になったのか?」という原因を探るための分析手法です。記述的分析で見えてきた数字の変化に対し、その背景や要因を深掘りしていきます。

たとえば、売上が下がった理由を探る際には、来店数の減少や購入単価の変化、キャンペーンの影響などに着目します。数字の動きを表面的に見るのではなく、その裏にある要因を見つけることで、改善へのヒントが見えてきます。

③予測的分析

予測的分析は、これまでのデータをもとに「これから何が起こりそうか」を見通すための手法です。売上の推移や顧客の行動パターンなどから、今後の動向を予測し、先手を打つ判断材料として活用できます。

たとえば、過去の購買履歴から「次にどの商品が売れそうか」を予測したり、離脱リスクのある顧客を事前に見つけたりできます。未来の変化に備えた行動ができる点が、予測的分析の大きな強みです。

④処方的分析

処方的分析は、予測の先を見据えて「どう動けばいいか」を導き出す分析手法です。将来のシナリオに対して最適な選択肢を提案することが目的で、複数のパターンを比較しながら、どの施策が最も効果的かを見極めます

たとえば、販促キャンペーンを実施する場合、「A案とB案のどちらが成果につながるか」をデータに基づいて判断できます。需要の変動や在庫の偏りなど、複雑な要素を加味して判断する場面にも強く、AIやシミュレーション技術が使われることもあります。

処方的分析を活用することで、単なる直感ではなく、根拠あるアクションプランを立てることができるようになります

データ利活用ならオーシャン・アンド・パートナーズへ

データ利活用を成功させるためには、単なる分析ツールの導入だけでなく、戦略的な視点と実践的なアプローチが不可欠です。オーシャン・アンド・パートナーズでは、企業のデジタル変革を支援する豊富な経験とノウハウを活かし、お客様のビジネス課題に合わせたデータ利活用ソリューションを提供しています

オーシャン・アンド・パートナーズは、データの収集・整理から分析、そして実際のビジネス改善まで一貫してサポートしています。記述的分析による現状把握から診断的分析での原因究明、予測的分析による将来予測、さらには処方的分析によるアクションプラン策定まで、4つの分析手法を適切に組み合わせることで、データを「業務に活かせる情報」へと変換します。

単なる数字の羅列ではなく、実際の意思決定や業務改善につながる価値あるインサイトを提供することで、お客様の競争力向上に貢献いたします。データ利活用でお困りの際は、ぜひオーシャン・アンド・パートナーズにご相談ください。

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この記事を書いた人について

谷尾 薫
谷尾 薫
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事

富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。