相見積もりで目の当たりにする金額の開き

2015/02/10

相見積もりで目の当たりにする金額の開き

問い合わせフォームの制作の相見積もりを取るとしましょう。コーポレートサイトの問い合わせページにあるようなフォームです。

とても小さな案件と思われるかも知れませんが、話しを分かりやすくするために、あえてシンプルな例を使います。手軽にマッチングサイトに出せば、おそらく1万円くらいで入札が入ることでしょう。

しかしある開発会社は、これを20万円と見積りました。その差は20倍です。今回は問い合わせフォームの例なので金額が小さいですが、ちょっとしたサイト構築であれば100万円~2,000万という幅になるということです。なぜこれほど大きく幅が生じるのでしょうか?

発注者自身も気付かない「隠された条件」とは?

それはひとえに「隠された条件」を開発会社がどれだけ見抜けるかによります。たとえば問い合わせページへの集客にコストがかかっていて、メールの紛失が絶対に許されない場合は、送信ボタンで即時にメールを飛ばさずにサーバに蓄積することを考える必要が出てきます。
そうすると、運営管理者がサーバに問い合わせ情報を取りに行くという運用が発生しますので、情報の削除の仕方、セキュリティの方法など多くの検討事項が発生します。

さらにこの検討事項の中にも発注者自身も気付かない「隠された条件」が潜んでいます。

個人情報の削除のタイミング、それは自動か手動か。そしてIDとパスワードはどう管理するか。サーバ上での暗号化は?などです。これに関係者が気付かずに先に金額だけが決まってプロジェクトが動き始めると、後から芋づる的に発覚する「条件」に悩むことになります。

最安値より20倍も高い金額を出した会社をどう評価するか

最高値を見つもった開発会社はおそらく「隠された条件」の存在を見込んで費用を積んでいます。をかと言って最安値より20倍も高い金額を出した会社に発注できるかと言うと、そうもいかないでしょう。おそらく真ん中よりも少し安い金額を出したところに発注を決めるのではないでしょうか。

つまり発注者自身もかなり深くご自身の発注内容について熟考しなければ適切な開発会社を選べないのです。

提案を開発会社に任せにしてしまうのは、自分で自分の首を締めることなのです。それを防ぐために提案依頼書(RFP)というものがあります。提案依頼書(RFP)を作る過程で、自分自身の発注内容の条件を深く掘ることができます。

この記事を書いた人について

谷尾 薫
谷尾 薫
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事

富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。