RFPの作り方を徹底解説!作成のポイントやよくある失敗例の対策も詳しく紹介!

2025/07/24

RFP(Request for Proposal:提案依頼書)は、プロジェクトの成功を左右する重要なドキュメントです。しかし、適切なRFPを作成するには、どのような点に注意すべきでしょうか?

本コラムでは「RFPの作り方」という観点から、RFPの基本的な構成や作成時のポイントを詳しく解説します。初めてRFPを作成する方でも、プロジェクトに最適な提案書を導き出すためのノウハウを提供します。

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RFPとは?定義や役割を解説!

RFP(Request for Proposal:提案依頼書)は、システム開発やITサービス導入はもちろん、建設、コンサルティングなど幅広い分野で活用される重要な文書です。適切なRFPを作成することで、自社のニーズに最適なベンダーを効率的に選定でき、プロジェクトの成功率を大幅に向上させることができます

ここでは、RFPの基本的な定義から具体的な役割、そして現代のビジネスにおいてRFPが必要とされる理由について詳しく解説します。

定義

RFP(Request for Proposal)とは、「提案依頼書」を意味する文書です。企業がシステム開発やITサービス導入を検討する際に、複数のベンダーに対して具体的な提案を求めるために作成します。

RFPには、プロジェクトの背景、要件、スケジュール、予算範囲、評価基準などが明記されており、ベンダー選定の基準となる重要な文書として位置づけられています。適切なRFPを作成することで、自社のニーズに最適なソリューションを提供できるベンダーを効率的に選定できます。

役割

RFPの主な役割は、発注者とベンダー間の認識齟齬を防ぎ、公正な競争環境を構築することです。具体的には、プロジェクトの要件や期待値を明確に伝え、各ベンダーが同じ条件で提案を作成できる基盤を提供します。

また、提案内容を客観的に比較・評価するための基準を設定し、最適なベンダー選定を支援します。さらに、契約後のトラブル防止にも重要な役割を果たし、プロジェクトの成功率向上に寄与します。適切なRFPを作成できれば、コスト削減と品質向上を図れる可能性を高められるでしょう。

なぜRFPが必要なのか

RFPが必要な理由は、複雑化するIT環境において、最適なベンダー選定が企業の競争力に直結するためです。口頭や簡単な資料だけでは、ベンダーが提案内容を正確に理解することが困難であり、結果として期待値とのギャップが生じる可能性があります。

RFPを作成することで、全てのベンダーが同一条件で提案を作成でき、公正な比較が可能になります。また、プロジェクトの失敗リスクを軽減し、予算オーバーやスケジュール遅延を防ぐ効果も期待できます。適切なRFPは、プロジェクト成功の基盤となる重要な文書です。

RFPと要件定義の違い

RFPと要件定義はしばしば混同されますが、目的と内容の深さが異なります。

RFPは調達を目的とする

RFPはシステムの開発・導入を行うベンダーを選定するための文書であり、要件定義ほど詳細な技術的仕様は求められません。その代わり、業務の課題や期待する成果を明確にし、ベンダーに最適な提案を促すことが主な目的です。

要件定義は設計の基礎となる

要件定義は、システム開発の初期フェーズで具体的な機能や技術仕様を確定するプロセスです。

範囲の網羅性は同等

RFPは要件定義ほどの技術的な詳細を求めませんが、対象範囲の網羅性は要件定義と同様に求められます。RFPが不完全だと、ベンダーが提案しにくくなり、結果として適切なソリューションが得られなくなる可能性があります。

そのため、RFP作成時には「幅広い範囲を網羅しつつ、その目的に照らし合わせて詳細な技術仕様に踏み込みすぎない」ことが重要になります。幅は同じ(重要です)、掘り下げる深さが異なると捉えてください。

RFPを作る前の準備について解説!

RFPの作成を成功させるためには、事前の準備が極めて重要です。関係者からの要件収集、プロジェクトの範囲と目的の明確化、現状分析など、綿密な準備作業を通じて、より具体的で実現可能なRFPを作成できます。

準備不足は後のトラブルの原因となるため、十分な時間をかけて取り組むことが重要です。

関係者ヒアリングで要件を整理する

RFP作成の第一歩は、プロジェクトに関わる全ての関係者からのヒアリングです。経営層、現場担当者、IT部門、外部コンサルタントなど、それぞれの立場から見た要件や期待値を収集します。ヒアリングでは、現在の課題、理想的なソリューション、優先順位、制約条件などを詳細に確認することが重要です。経営層からは戦略的視点や投資対効果、現場担当者からは業務効率化の具体的なニーズ、IT部門からは技術的制約や運用面での要件を聞き出します。

また、部門間で異なる要件や矛盾する要求を早期に発見し、調整を行います。例えば、営業部門が求める機能と経理部門が求める機能に矛盾がある場合、事前に調整することで後のトラブルを防げます。ヒアリング結果を体系的に整理し、機能要件と非機能要件に分類することで、ベンダーにとって理解しやすい要件定義書を作成できます。

プロジェクト範囲と目的の明確にする

プロジェクトの範囲と目的を明確にすることは、RFPの品質を左右する重要な要素です。プロジェクトで解決すべき課題、達成すべき目標、対象となる業務範囲、システム化の範囲などを具体的に定義します。また、プロジェクトの成功基準を数値化し、測定可能な指標として設定することが重要です。例えば、「業務効率を30%向上させる」「処理時間を50%短縮する」といった具体的な目標値を設定することで、ベンダーも提案しやすくなります。

範囲が曖昧だと、ベンダーから的外れな提案を受ける可能性があるため、できる限り詳細に記載します。どの業務プロセスを対象とするのか、どのシステムとの連携が必要なのか、どの部門が利用するのかなど、境界線を明確にすることが必要です。同時に、将来の拡張性や他システムとの連携についても考慮し、長期的な視点でプロジェクトを設計することが求められます。

RFPを作る際の基本構成とは?

効果的なRFPを作成するためには、基本的な構成要素を理解することが重要です。システムへの要求事項、プロジェクトスケジュール、予算範囲、評価基準など、ベンダーが提案を作成するために必要な情報を体系的に整理します。

構成が整っていることで、ベンダーは効率的に提案を作成でき、発注者も公正な評価を行うことができます。

システムに求めること

システムに求める具体的な機能や仕様を明確にします。例えば、「顧客管理機能」「決済機能」「レポート出力機能」など、実装したい機能を具体的にリストアップすることで、ベンダーが適切な開発計画を立てやすくなります。

また、現行システムとの連携の必要性や、将来的な拡張性の要件も記載すると、より良い提案を受けられる可能性が高まります。

スケジュール

納期や中間マイルストーンを明示します。具体的な期限を提示することで、ベンダーが現実的な開発計画を立案しやすくなります。

また、納期が厳しい場合には、優先度の高い機能から順次リリースするなどの方法も検討すると良いでしょう。

予算範囲

プロジェクトの予算の目安や上限を提示します。予算を明示しないと、ベンダーが適切な提案を行えず、見積もりの大きなブレが発生する可能性があります。開発費、運用・保守費用、ライセンス費用など、コストの内訳を明確にすることで、現実的な見積もりを得られるようにしましょう。

また、予算に制約がある場合は、その範囲内でどの機能を優先するかも記載すると、より良い提案を引き出せます。

評価基準

提案書の評価にあたっては、評価方法をあらかじめ明確に定めておくことが重要です。たとえば、まず技術力が挙げられます。これは、提案された内容が技術的に妥当であるかどうか、また実現可能な計画となっているかを確認する指標です。

次に、コストの観点も欠かせません。提示された見積もりが予算内に収まっており、かつ内容に見合った適正な価格であるかどうかが評価の対象となります。また、納期の妥当性も重要です。提案されたスケジュールに無理がなく、実行可能な計画であるかを慎重に見極める必要があります。

さらに、導入後のサポート体制も評価の軸となります。システム導入後に継続的な支援が受けられるか、トラブル発生時の対応が明確かといった点は、長期的な運用において大きな安心材料となるため、重視されるべき要素です。

これらの観点をもとに、提案書の総合的な価値を判断します。

RFPの作り方のポイントを解説!

効果的なRFPを作成するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。適切な準備なくして質の高いRFPは作成できません。明確な定義、ベンダー視点での記載、透明性の確保、適切な予算感の明示、そして柔軟性の確保が成功の鍵です。特に、ステークホルダーとの認識合わせや課題の整理は、後の工程で発生するトラブルを未然に防ぐ重要な工程です。

準備不足は後のトラブルの原因となるため、十分な時間をかけて取り組むことが重要です。これらのポイントを意識することで、ベンダーから質の高い提案を引き出し、最適なパートナーを選定できるRFPを作成できます。

明確な定義

曖昧な表現を避け、具体的な要件を記載することが重要です。例えば、「使いやすいシステム」と記載するのではなく、「1クリックで顧客情報を検索できるUI」といった具体的な仕様を記述することで、ベンダーが誤解せずに開発できます。また、機能ごとに優先度を設定し、必須要件とオプション要件を区別することも効果的です。

ベンダー視点での記載

RFPを作成する際は、発注者視点だけでなく、ベンダー視点を考慮することが重要です。専門用語の過剰な使用や社内特有の表現は避け、一般的な業界用語を用いることで、ベンダーが正しく理解しやすくなります。また、システムの導入背景や目的を詳しく説明し、プロジェクトの全体像を伝えることで、ベンダーは適切な技術的提案を行うことが可能になります。

評価基準の透明性

公平な選定を行うため、評価基準を事前に明確化することが重要です。例えば、「価格70%、技術力20%、サポート体制10%」のように、どの要素を重視するのか明記することで、ベンダーが適切な提案を行いやすくなります。また、評価方法(書類審査、プレゼン、実績確認など)についても具体的に記載し、選定プロセスを透明化することが望ましいです。

予算感の明示


プロジェクトにどの程度の費用を投じるのかを明確にすることで、適切な提案を受けやすくなります。予算の上限・下限を示すことで、ベンダーは現実的な範囲で提案を作成できます。また、開発費、保守運用費、追加機能の費用といった内訳を示すことで、ベンダーと発注者間の費用感のズレを減らし、スムーズな交渉を可能にします。

柔軟性の確保

過度に詳細な要件を記載すると、ベンダーの創造性を制限する可能性があります。たとえば、「データ分析機能を提供する」といった要件ではなく、「リアルタイム分析機能が必要だが、具体的な手法は提案を求める」と記載することで、ベンダーが最新技術を活用しやすくなります。適度な自由度を持たせることで、より良い提案を受けることができます。

予算感を明確にする理由

予算を示さないRFPでは、ベンダーが適切な提案を行うことが難しくなります。規模やリソースの投入量が不透明なままだと、提案内容に大きなズレが生じる可能性があります。

例えば、発注者が「できるだけ安く開発したい」と考えているのに対し、ベンダーは「高機能な提案をしたほうが採用されやすい」と判断し、結果として双方の認識にズレが生じるケースが多々あります。さらに、仮に提案を受け入れたとしても、「こんなに高いの?」という反応を引き出しやすく、無駄な時間を費やす結果になりかねません。

適切な予算感を事前に設定し、それをRFPに盛り込むことで、よりスムーズな交渉と効果的なベンダー選定が可能になります。具体的には、以下のポイントを考慮することが重要です。

市場相場を参考にする


過去の類似プロジェクトのコストを調査し、現実的な予算を設定することが重要です。例えば、同業他社のWebシステム開発事例や、自社が以前発注した開発案件の費用などを参考にすることで、相場感との大きな乖離を防ぐことができます。具体的には、業界団体の調査報告書や開発会社の事例紹介、IT関連の専門誌などから情報を収集し、プロジェクトの規模や機能に応じた適正価格を把握しましょう。

ベンダー側としても、相場に即した予算が提示されていれば、技術的・金額的に実現可能な範囲で提案を組み立てやすくなり、結果として提案の質が向上します。相場調査は、見積もりの妥当性を判断する際の基準としても機能するため、発注者にとってもリスク軽減につながります。

内訳を提示する


開発費、ライセンス費、運用費などの内訳を示し、コストの透明性を確保することは、信頼関係構築の第一歩です。総額のみを提示するのではなく、「初期開発費:約◯万円」「年間保守費:約◯万円」など、項目ごとに分けた情報を記載することで、ベンダーは各費用に対する優先度や制約を理解しやすくなります。また、運用開始後の追加機能開発費やカスタマイズ費用についても想定範囲を明示しておくことが重要です。

また、項目ごとの予算感が明確であれば、コスト調整の交渉もスムーズに進みやすくなり、不要な誤解やトラブルの防止にもつながります。さらに、どの項目に重点的に予算を配分したいかを示すことで、ベンダーは発注者の優先順位を理解し、それに応じた最適な提案を行うことができます。内訳の透明性は、長期的なパートナーシップの基盤となる重要な要素です。

RFPを作る際のよくある失敗例と対策を紹介!

RFP作成では多くの企業が同様の失敗を繰り返しています。案件の曖昧さ、非現実的なスケジュール、不明確な評価基準、予算の非開示、リスク対策の不備など、これらの失敗はプロジェクトの成功を大きく左右する要因です。

本章では、実際によくある失敗パターンを具体的に紹介し、それぞれに対する効果的な対策方法を詳しく解説します。事前に失敗例を把握することで、質の高いRFPを作成できます。

要件が曖昧


ベンダーが誤解するリスクがあるため、具体的な例や図表を活用して、より明確に要件を定義することが重要です。例えば、「ユーザー管理機能を実装」とだけ記載するのではなく、「管理者がユーザーの追加・削除・権限変更を行える機能」と具体的に記載することで、意図のズレを防ぐことができます。また、期待する操作フローや使用シナリオを説明することで、ベンダーが提案を作成しやすくなります。

スケジュールが非現実的


ベンダーとの事前相談を経て、現実的な納期を設定することが必要です。例えば、「3カ月以内にシステムをフル稼働」といった厳しい納期を設定すると、品質の低下や追加コストの発生につながる可能性があります。実際の開発プロセスでは、要件定義・設計・開発・テスト・導入といったフェーズを経るため、それぞれの期間を考慮したスケジュールを組むことが不可欠です。

評価基準が不明確


選定プロセスに不信感が生まれないよう、評価基準を事前に共有することが重要です。例えば、価格、技術力、サポート体制、納期遵守度といった要素を数値化し、どの程度重視するのかを明確にすることで、公平な選定が可能になります。具体的には、「価格50%、技術力30%、運用サポート20%」のように基準を明示し、選定プロセスの透明性を確保しましょう。

予算を示さない


適正な提案が得られず、無駄な調整作業が発生する可能性があります。予算の範囲が示されていないと、ベンダーはリスクを考慮して高めの見積もりを提示する傾向があります。また、発注者側が予算感を持たないまま提案を受け取ると、「思ったよりも高額」という認識のズレが生じ、交渉のやり直しが発生しやすくなります。市場相場を事前に調査し、予算の上限・下限を明示することで、効率的な提案プロセスを実現できます。

リスク対策を怠る

想定されるリスクとその対応策を事前に示すことで、プロジェクトの安定性を高めることができます。例えば、「サーバー障害時の復旧対応」「データ移行のトラブル」など、発生しうる問題とその対応策を事前に検討しておくことで、トラブル時の混乱を防ぐことが可能です。また、リスク管理計画をベンダーと共有し、事前に合意を取ることで、責任の所在を明確にできます。

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RFPの作成は、システム開発プロジェクトの成功を左右する重要なプロセスです。適切な準備段階での要件整理から、基本構成の理解、作成時のポイント把握、そして失敗例の回避まで、各段階で注意すべき要素を体系的に理解することが重要です。

特に、明確な定義、ベンダー視点での記載、透明性の確保、適切な予算感の明示、柔軟性の確保を意識することで、質の高いRFPを作成できます。これらのポイントを押さえることで、最適なベンダー選定とプロジェクトの成功につなげることができます。

RFPの作成から運用まで、専門的な知識と豊富な経験を持つオーシャン・アンド・パートナーズがトータルサポートいたします。企業の課題やニーズに応じたオーダーメイドのRFP作成により、最適なベンダー選定を実現します。システム開発プロジェクトの成功率向上とコスト削減を同時に達成したい企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人について

谷尾 薫
谷尾 薫
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事

富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。