拝啓 発注ご担当者さまに切にお伝えしたいこと。

2013/06/17

当方さいわいクライアントに恵まれていると思うのですが、たまに無茶な要求をされる相談者がいらっしゃいます。求められることと、できることのミスマッチといえばそれまでなのですが。

メンバーが感じるストレスは僕のストレスでもあります。少しでもお互いやりやすい環境を作りたいと思いますので、セールス文章の逆みたいなこと、つまりこういうのは「実際のところ困ります」というのを書きます。見込客を失うかも知れないのである意味で冒険です。しかし、これはチームメンバーの切なる心の叫びなのであります。

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1.当チームはメーカーでもディベロッパーでもありません。

メーカーでもディベロッパーない自分らはいったい何者かというと、知識や能力をベースにした役務を提供することを生業とするチームです。打ち合わせに出たり、アドバイスしたりとかはけっして「無料ではない」ことをどうかご理解くださいませ。こちら移動時間を含めコストが発生しているのです。調査するのも見積りをつくるのもすべてチャージ見合いです。もし出来高にしか予算がつかないのでしたら、最初からディベロッパーにご相談されたほうがよろしいです。

事前に説明しているのにかかわらず「費用かかるんですか?」と言われること多々なので、そもそもボタンを掛け違えていることが多い気がします。なので最初に宣言する次第なのです。

※ちなみに「そちらでは開発や導入までカバーできますか?」という質問は良く来ます。それについては当チームではデイベロップメント「も」行いますと、お答えしています。「も」を強調したのはデイベロップメントや導入無しでは、クライアントの課題解決がコンプリートしないからです。

2.アイディアだけ持っていかないでください。

声をかけていただけるのは嬉しいですが、アイディアだけ持っていかれるのは困ります。僕たちはこれを職業としてますから。提案書を受け取られたのに「他社に流れました」「話しが無くなりました」と告げた挙句すべてご破算にされるのはとても辛いです。ご提案を求めるからにはそれ相応の対価をご配慮くださいませ。(オーダーをくださるのが一番ですが)

※ささやかな夢ですが、無形の知恵やアイディアに対価を払うことが当たり前な社会にしたいと思っています。「無形」資産は最大の競争優位要因ですが、それを真っ当に評価するカルチャーが無かったら、没落するのみだからです。

 3.デイベロップメント費用を見積るために都合よく使い倒さないでください。

デイベロップメント費用を見積もるためには、スペックを定義する必要があります。打ち合わせが数回必要ですし、その中でファシリテーションを実施したりノウハウを伝えることもあります。このようにアタマに一番汗をかかないといけない工程を評価せず、下請け業者のごとく使い倒されると困ってしまいます。

※ちなみにスペックさえ定義できればディベロッパーのマッチングサイトなり何なりでいくらでも安くオーダーできます。誰彼れ開発まで辿りつかせるのが大変なのですよ。

4.コストを蝕む存在ではありません。

社内外システムの如何によらず、クライアントのビジネスをローンチさせて事業を廻してナンボだと思っています。以前、当チームがお手伝いさせていただいたマーケットプレイスでは、初年度で1億円の収益を生み、その後5年で10億円規模のビジネスになりました。これに対して私どもがお預かりしたご予算は2,000万円弱でした。このような投資対効果はがっぷり四つで組まないと導き出せません。

ITを取り扱っていると、時にビジネスユーザから、こっそり敵視されることがあります。片手で握手し合ってもう片手で殴り合うような関係はクールすぎます。どうか味方だと思ってください。

※ベストな結果を生むにはクライアントとのイーブンな関係が極めて重要なのです。それなりに自分らでリスクテイクしてビジネスの結果を生んだことがあるメンバーです。そのノウハウが必要という気概を感じるとモチベーションもさらに上がります。

5.マーケティングノウハウは開発のおまけではありません。

こちらが有するマーケティングノウハウは付加価値であって、ソフトウェア開発のおまけではありません。集客のアイディアや実践パターンをお披露目したときに「じゃあそれもついでに」というのは無しでお願いします。一応こちらは仕事ですから、最初に決めた業務内容の範囲を守っていただけると助かります。追加の作業依頼は調整させていただきます。

 

追伸) 最後にあえて。

聞かれたらそれなりにアドバイス致しますが、そのあと「無しのつぶて」だと、砂を噛むような気持ちになります。アドバイスが役立ったのならせめてそのフィードバックが欲しいのです。「無反応」というのが一番悲しいです。それどころか自分が聞きたいときだけ都合良く聞いて、そのあとシャットアウトする人もいらっしゃいます。それってどうかと思うのですが。

こちら自分らの職業に「想い」をもっています。相談者のお役に立ちたい一心で、一生懸命調べて、ノウハウを総動員してアドバイスをご提供しています。そこに営業的な見返りを求めるのは、ビジネスなので否定しませんが、その前に一人の人間なのです。

しつこい営業行為への警戒心があるのでしたら、替わりに「まともに」お付き合い願いと切々に。そもそも僕らを見つけたこと自体、奇跡ともいえる確率をかいくぐって来られたわけですので、一期一会の精神でどうかお願いします。

 

この記事を書いた人について

谷尾 薫
谷尾 薫
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事

富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。