システム内製化はSIビジネスモデルへのアンチテーゼ?
内製化比重を高めていく方向に舵を切る企業が増えている
昨年6月に書いたエントリ。
これに関連して、こんな記事を見つけました。
「アプリケーション開発・保守業務の外注・内製間のバランスを如何に最適化していくべきか?」 - 企業が自社のIT戦略・ソーシング戦略を検討する際の重要論点の一つであり、永遠のテーマでもある。
様々な外部環境・内部環境の変化が複雑に絡み合う中で、時代の流れと共にその解も形を変えていくものであるが、近年、アプリケーション開発・保守業務の内製化比重を高めていく方向に舵を切る企業が増えてきている。
ITエンジニアの72%がユーザー企業に所属するアメリカで「内製化」はスタンダードとして根付いていることに比べ、開発を外部に依存せざるを得ない日本の状況は特殊でした。ですが一度、風穴が空いてしまうと止まらなくなってしまったという状況が今です。
クライアントが異口同音にする”本音”
ちなみに私が運営するオーシャンという会社では、発注側である情報システム部門と、開発を担う開発チームの両方に入りこむことで、アウトソースを活用した内製化アプローチを支援しています。いわば発注側と開発側が一つのチームとなった開発の実践です。
これを通じてクライアントの本音を聞く機会が多い。。。
- 「SIerに丸投げはしたくない」
- 「新しいアドバンテージを生みたい」
特にこのふたつは異口同音に唱えられます。
「丸投げしたくない」の裏側にあるもの
これはSIerが提供する「要件定義から導入までをひっくるめて開発責任を取る」というビジネスモデルに異存することへのリスク認識です。開発作業を発注者にとってブラックボックス化したことがSIの功罪といえるかも知れません。
これに対する動きとして「ユーザー主導開発」というコンセプトを実践されている会社さんがいます。
「ユーザー主導開発」というのは、一言で言うと「丸投げ」と正反対の開発の進め方です。開発自体を開発ベンダーが行うという点は変わらないのですが、ユーザー企業のキーとなるメンバー、たとえばCEO、CIO、情シスメンバーがそれぞれの立場で積極的にシステム開発に関わっていきます。「丸投げ」のように発注してしまった後はベンダーに任せて無関心になるのではなく、ベンダーの開発の進め方にも積極的に関与するという点が特徴です。 「ユーザー主導開発(ULSD)」とは -ウルシステムズ
ITをCEOにとってのブラックボックスにするのではなく、経営者マターにするのがまず最初にやる仕事のようです。この記事を書かれた会社さんは大規模案件を得意とされているようですが、部門発注のケースでも「ユーザ主導」という考え方は充分役に立つと思われます。ちなみに当社でも実証済みの手法であります。
SIerのビジネスモデルへのアンチテーゼ
二点目の「新しいアドバンテージを生みたい」は、いわゆる「受託企業の立場」でITビジネスに携わるSIerに対するアンチテーゼです。言われたことはやるが新しい価値が出てこないという不満を感じ取ることができます。それだけではありません。ビジネスのあらゆるセグメントがIT化する事業環境の中で、クライアントは生き残りをかけて闘う武器が欲しいのです。
これからの潮流は丸投げではなく、適材適所でのアウトソースとなり、設計、開発ノウハウ、品質レベルなどの指標がクライアントに蓄積される。そのようなクライアントとベンダとの関係性が重要になることでしょう。
最後に宣伝です。こうした指標をベンチマークとして有効活用しながら的確に自社のサービスレベルを上げていく、という定着に向けて支援できるサービスを当社では提供していますので、もしよろしければ。
この記事を書いた人について
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オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事
富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。
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